食人姫

中の話し声が、微かにだが聞こえる。





「……とまあ、儀式の流れについてはこんなところだ。さすがにこれだけ練習すれば、もう良いだろう」




どうやら、儀式の練習をしていたようだけど……そうだとしたら運が悪い。


もう少し早くここに来ていたら、その内容が明らかになっていたかもしれないのに。


「ちっ……もう一回くらいやれよ」


それを聞いて、哲也も俺と同じ事を考えていたのだろう。


俺の耳に辛うじて届く程度の小さな声で、そんな事を呟いた。


「ちょっと質問があるんですが、巫女を明後日まで護衛するのは良いとして、本当にその……俺達は化け物に食われる事はないんでしょうね?」


「その為に儀式を済ませたやつを護衛に付かせるんだ。見ただろ?化け物に食われたのは儀式をしていないやつらだったのを」


……巫女の護衛なんてあるのか。


いや、それよりも、明後日まで護衛する?


つまり、明日の儀式で麻里絵がすぐに食われて死ぬというわけではないのか。


これでまた少し、麻里絵を救い出せる可能性が上がった。


想像していたタイムリミットが少しは伸びたという事は、それだけ考える時間が増えたという事だ。