食人姫

「ちょっと、何で僕まで行かなきゃならないのさ」


そう言いつつも、俺の後ろに付いて外に出た直人。


「あ?お前も話を聞いて、解決策を考える為に決まってんだろ」


さも当然のようにそう言い、空を見上げて化け物が来ていないか哲也が確認する。


昨日は何も考えずに集会所まで歩いて行っただろうに、今日は慎重だ。


まあ、あんな光景を目の当たりにしてしまったら仕方がないか。


「そんなの、哲也達が聞いた話を教えてくれれば良かったのに。化け物がどこにいるか分からないのにさ」


「まあ、確かに化け物は怖いけどさ、多分、大丈夫だと思うんだよ。さっき襲われた人達も、集会所から離れた場所だったしさ。全員食うつもりだったら、集まってる所で食えば良かったのにそれをしなかったって事は……」


光の父さんが駆け寄って来ただけで、化け物は俺と由奈を食わずに逃げた。


これは推測でしかないけれど、儀式を済ませた事がある人の近くにはいられないんじゃないかな。


「……集会所の近くだから大丈夫って事か」


直人の答えに、俺は頷いた。


そして、俺達は集会所に。


夏も近いというのに、雨戸を閉めて、中でどんな話をしているのだろう。


哲也が静かに近寄った雨戸に身を寄せ、俺達はそれに耳を当てた。