食人姫

「全く……そういや俺の爺ちゃんも親父と同じように銃を撃ったよな、あれで5人も死んだんだぞ!」


さすがに人を撃つのはやりすぎだと、哲也の爺ちゃんに怒る親父さん。


だけど爺ちゃんは嬉しそうに空を見ていて……。


「わしが殺らんでも、化け物が殺ってくれるわい。ほら、見てみい……どいつにしようか迷っとるわぃ」


その言葉に、俺は思わず空を見上げた。


集会所に押し寄せたほとんどの人が、30代までの若い人。


何人か俺の父さんくらいの年齢だろうと思う人はいたけど……。


「い、いる……そこに」


月明かりを一瞬遮断するように、何かが空を横切った。


爺ちゃんの言うように、誰にしようか迷っているかのように。


反対派の多くは、俺達と同じように、一度も儀式を行った事がない人達なのだろう。


だとすると……いつ、誰が襲われてもおかしくないというわけだ。


「ほれほれ、早よう逃げんかい!食われてしまうぞ!」


楽しそうに反対派を煽る爺ちゃん。


「何が食われるだ!じじいこそ食われちまえ!」


と、撃たれた人に肩を貸して歩いていた人がそう言った時だった。


その進行方向にふわりと舞い降りた黒い影が……二人にゆっくりと手を伸ばしたのだ。