食人姫

大人達の声が次第に大きくなる。


階段を下りるにつれ、それがはっきりと分かるのだけれど、家から出るともうお祭り騒ぎ状態だ。


「本当に出ても大丈夫なのか……って、おい哲也!」


心配するよりも早く家を飛び出して、道を挟んだ生垣に身を隠す。


俺もそれに続いて、生垣に近付くと、その隙間から中の様子を伺った。


反対派の勢いが増して来ている。


賛成派は……反対派の先頭にいる人達と怒鳴り合っているのがやっとという感じか。


このままでは賛成派が押し切られてしまうだろう。


そうなれば、儀式は行われなくなるんじゃないかという期待をしてしまう。


もしも、あの化け物も賛成派が仕組んだ事だとしたら……実際、俺は殺されなかったし、その可能性だってあり得る。


「お、爺ちゃんが出て……おいおい、マジかよ」


哲也が驚いたのは……集会所から出て来た爺ちゃんの手に、猟銃が握られていたから。


まさか、反対派の連中を撃つつもりか!?


いや、まさかな……きっと脅しに使うつもりだろう。












「クソガキどもが!!わしに殺されるか、化け物に殺されるか、好きな方を選べ!」











猟銃を構えて、いつでも撃てると言わんばかりの爺ちゃんを見て、これは本気だと感じた。