「あーーん!」
「俺にくれんのー?あーーん!」
ちっ、また始まった。
恒例の食べさせ合い。
こうなったら……、
「は?」
大きく口を開けて桃さんの方を向くと睨まれた。
「俺にもしてくれよー、あんなの目の前で見てられねぇ。」
「桃がする必要ある?」
「ちぇーーーっ。」
俺はぷいっとそっぽを向いて、ご飯を口に入れた。
プルルルルルルル♪
「あ、タケだ☆」
桃さんが笑顔に変わると同時に俺の表情は曇る。
「もしもーし、…うん、昼休み!……え?またー?……うん、……うん。」
笑顔だった桃さんが急に暗い表情になった。
「桃ー?どうしたの?」
電話を切ってすぐに、姉ちゃんが聞いた。
「またドタキャン〜。大学の友達とご飯行くことになったんだってー。なんか、先輩いるから断れないって。」
なぬ?!タケのやつ……!!!
「なんか最近ドタキャン多くない?」
「これで、3回連続。……嫌になるよほんと。」
桃さんはふぅーっとため息をついた。
そのあとも口数の少ない桃さんに、あまり話しかけることもできず昼休みが終わった。

