「みづきちゃん、みんなとかけっこしましょうよ。ひとりぼっちじゃ寂しいでしょう?」

片山みづきは、手のかかる幼児で園では有名だった。教諭たちが、目を向ける度に園児たちの輪から離れ園の隅にある花壇のみずたまりを覗きこんでいる。

今年の春から入った新任の私は、何とかこの子をみんなと一緒に遊ばせようと必死に声をかけ続けていた。

でも彼女は、知らん顔。

イライラ…

イライラ…

あ―もう何なのこの子。

あっそう。もう知らない。知りません。

私は、彼女を置いて鬼ごっこをしているグループのところへ逃げた。