妖しがりて寄りてみるに


郵便局に着くと、ポストの前に見慣れた顔が立っていた。

「謙一郎くん!」

名前を呼ぶとこっちを見た。

「おう。」


「待ち合わせ?」

「まぁな」

「彼女?」

「まぁな」

「まぁな、しか言ってないよ?」

私は可笑しくて、大笑いしてしまった。

照れてるみたい。


「日和ちゃんは?
 もしかして、蓮と待ち合わせ?」


ドキッとした。

「なんでわかったの?」

「いや…えらい気合い入ってるし。
 よく出入りしてんじゃん。
 なにしてんのかわかんないけど♪」

ニヤニヤしながら謙一郎くんが言った。


「その顔やめてよ」

私は冷たく言い放った。


「話してるだけだよ。
 あんな部屋に一人で篭ってたらおかしくなっちゃう。」


「まぁな。あいつは好きでそうしてるけど。
 あいつ独特じゃん。
 俺も、遊びに行ったりしてたけど…なんか突き放された感じがして行けなくなったんだよなぁ」

ポリポリ頭をかきながら、そう言った。

真実はわかんないけど、謙一郎くんの「独特」っていう言葉が嫌だった。


「謙ちゃ〜〜〜ん」

前から、ピンクの浴衣を着た、かわいらしい声の女の子が駆け寄ってきた。

「ごめんね?待った?」

「や、大丈夫。」


二人のやり取りに、ついつい見入ってしまう。

ふと、篤くんの顔が頭をよぎった。


「こっちは、今うちに住んでる従姉妹。
 こっちは彼女の結衣」

「はじめまして〜」

思いきり可愛く挨拶された。
彼氏の前だもんね。

「はじめまして」

私もにっこり笑った。