最初の異変に気付いたのはちょうど3ヶ月ほど前だった。
月曜日の朝、私はいつものように登校して教室に入った。
「おはよー!」
仲のよい友達、チカとモエに声をかけた。
でも、二人からの返事はなかった。
聞こえなかったのだろうか?
私は駆け寄って、二人の肩をポンと叩いた。
「おはよー、どうしたの?元気ないね。」
「あ、うん。」
チカが顔を背けながら返事をした。
モエは返事どころか、目も合わせてくれない。
どうしたんだろ?
いつもチカ、モエ、私、そしてエリカの四人一緒にいる仲良しグループ。
普段なら、誰か一人が登校してくれば、みんな笑顔でおはよー、と言い、すぐに談笑が始まる。こんなことは今まで一度もなかった。
何かあったのだろうか?
でも、私が不思議に思っている間に、二人は私をおいて、逃げるように早足でどこかに行ってしまった。
「あ、ちょっ、待ってよ…!」
呼び止めてももう遅かった。
追いかけようとも思ったが、今私がそうしたところで、さっきと同じような反応をされるだけのような気がした。
そういえば、エリカの姿がまだない。
エリカなら二人の態度が変な理由を知っているかもしれない。
私はひとまず、エリカが来るのを待つことにした。