千秋は不思議そうな顔で

俺を見つめた。

「何?」

「仕事…って何してるの?

いつも?こんなに早いの?」

「だから…心配で…今日は

早退してきた…仕事は旅行会社…」

話の途中で千秋はケラケラ笑い出した。

「なっ、何んだよ…そんなに笑うような事じゃないだろっ」

「だって…早退するぐらいチイを心配って…

って…私……」

笑ってたはずの千秋が

大粒の涙を流し始めた。

「何だよ…笑ったり、泣いたり…」

「だって…もう…チイの事なんて

心配とかしてくれる人なんて…

居ないと思ってた…だから…

渉がチイを心配して早退までしてくれて…」

「…チイ…」

俺は自然とチイを引き寄せ抱きしめ

頭を撫でた。

何とも言えない感情が芽生えていた。