(あ、嘘ついた。)

と、琴乃は思った。


「あの写真、俺も持ってるんだ。あの隣の子が亜希ちゃんって言うんだけど、俺は亜希ちゃんの方がタイプなんだなぁ…。」


(あ、ごまかした。)と

琴乃も慶太も思った。


「そうだったの?」

「あれ、知らなかった?」

「カワイソーに。」

「なにが?」

「だって嫌ってたよ。」

「…そーゆーのは、オブラートに包むとかさぁ」

「いやー、あえて直で…お互いのために。」

「…琴乃ちゃ〜ん。たのもしくなったね!!!」

「うん。高校で鍛えられてるから!」

「彼氏はできた?」

「まだ!」

「だろうね…友達変えたほうがイイかもよ!」

「ほっといて!」


(うまくいった!)

と、紺野は確信していた。



その日、

慶太が帰ると、
玄関には駿祐の靴があった。


「なんだ、もう帰ってんのかよ」

そう呟くと、
そのまま、自分の部屋へ直行する慶太。


そして、駿祐の部屋の前を通る時、ケータイが鳴っていることに気がついた。


隣の部屋から聞こえてくる、
しばらく鳴り続けたメロディは、一度途切れ、
すぐにまた、けたたましく鳴りはじめる。