「やめてって!」

「こんな顔して見せるのかぁ”って思いながら」

「もうやめて〜!」


琴乃は俺の手を振り払い、
耳をふさいで、その場に座り込んだ。


そして、か細い声で、何かを言っているのが聞こえ、

「え?」


ここは聞き逃してはいけまいと
琴乃の前にしゃがみ耳を寄せた。


「どーして…そんなこと…そんなこと、言わなきゃ分からないのに…」

「ごめんね、琴乃ちゃん。」

「どーしてそんなこと言うの!」

「そーだよね。でも、本当のことなんだ。…兄貴に対してコンプレックスがある限りは…」

「どーして…駿がでてくんのぉ!」

「…琴乃ちゃんだって、歳のことこだわるじゃん。」

「!」

「お互い様だよ…」

「だって、駿のことはもう、あたしは」

「それは琴乃ちゃんの気持ちでしょ?」

「でも、歳の差は」

「だから!俺はそんなこと気にしてねーから!!」

「…」

「でも…俺たちがつきあっていくには、兄貴の存在も歳のことも…ずっと、つきまとってくるんだよ!ソレにこだわってるうちは!」

「…」

「俺たち…距離おいた方が良いのかもな。」


その瞬間、琴乃の目からは、みるみると涙があふれだした。