慶太個人は敗退してしまっていたが、
他の選手の頑張りで、
学校としては、
次なる大会も無事に突破し、
見事、
インターハイ出場を決めた!


そして、母校の健闘を祈り
また、
さらに自分のボルテージをも上げるつもりで

コーチの誘いを受けた駿祐が、
突如、プールサイドに姿を現した。


それには、大いに盛り上がりをみせ、
ほとんどの部員が浮き足立ち、
チラチラと駿祐の行動を見張っては、気になっているといった様子のなか

何も聞かされていなかった慶太だけは、不機嫌な表情を浮かべていた。


知っていれば、その日の練習をサボったに違いない。

そう思ってのことだった。


駿祐に声をかけられた者は、決まって慶太に報告に来る。


「あとでリレーやるんだって!よろしくってさ!どう組分けすんのかな?」

「さあ?」

「おまえは?」

「なーんか、今日は不調で…」

その時、

「おいっ!ケータ!おまえ泳いだのかー?!」

「ヤベっ。」


コーチに指摘され、
慌てて準備をする慶太は
位置に着き、
ふと、ゴーグル越しに、駿祐を見た。


(なに見てんだよ!)


駿祐が自分を刮目していることに、軽く苛立ちを感じ、
一度、深く呼吸を整えなおした。