「琴乃ちゃん。それ以上、兄貴の話が続いたら、俺がやきもち妬いちゃいそうなんだけど。」

「あ!」

「そのリアクション…なんかリアリティを感じるなぁ。」

「イケナイ!イケナイ!」

「喧嘩したいのかな?」

「そろそろイイかもね!一回くらい。」

「言うじゃん!」

「えへへ。…ケイちゃんだから!言えるのかな?」

「…ヤバい!」

「なに?」

「こんな人混みの中、ギューってしたくなってきた!」

「それはダメ!」

「したら?」

「殴る!」

「じゃあ、殴ってみ!」

そう言って、掴もうとする慶太の手を振り払うと

「残念でした〜!」と

琴乃は走り出した。

「あれ?まさか、酔ってんのか?」

心配するように、慶太も、つきあって追いかける。

そして、琴乃の手を掴んで、軽く引き寄せると、

「あー、捕まったぁ!」

琴乃は、その慶太の手にしがみつきながら

「な〜んか楽しい!!これが酔ってるってことなのかなぁ?」と、

未成年の慶太に尋ねた。


「多分ね!さて、帰ろっか?!送るから!」

「うん!」

「迎えに来て正解だったよ!」

「そこまで酔ってないよぉ!」

「はいはい!酔ってないです!」

「バカにしてぇ!生意気だぞぉ!」