式典のあと、
琴乃と亜希と他、数人とカフェで一息ついていた。


「なんか、期待してた程のことはなかったなぁ。」

「いやぁ、一部はなんだか盛り上がってたよ。」

「そう?なら良かった。」

「そうそう、紺野が落ち着いちゃっててビックリ!」

その話に、琴乃と亜希は顔を合わせた。


「紺野、来てた?」

琴乃が聞くと

「うん。ちょうど帰って行くとこで、なんか、話し掛けづらい感じだった。」

そう言う、友達の話に

「なにアイツ、なんの挨拶もなしに。」と

亜希は言う。

すると、

「なんか揉めてたんだよねぇ。」

もう一人の友達が言った。

「誰と?」

「藤崎!あのふたりってさ、水泳部で部長、副部長だったじゃん?」

「それって、浪人中の紺野のヒガミってやつ?」

そんな言葉に

「あいつはそんな、人間小さくないよ。」

とっさに亜希は弁解した。


「…寺岡って、昔、琴乃とつきあってたっけ?」

「!?なに?突然。」

声を引っ繰り返す琴乃に対して、話しづらそうに、
その友達は続けた。

「藤崎、大学でも水泳続けてて、今年のインカレで、寺岡を見かけたんだって。」

「それで?」

「昔はあんなにライバル視してたのに、今じゃどうしたって…そしたら紺野が怒りだしてさぁ。」