「琴乃さん、待って!」

今度こそ、確信して振り返えった。

するとそこには、いつになく…

いや、琴乃の記憶に残るのは、
いつからか、いつもこんな…

真剣な顔の慶太が立って居た。


「違うんだ!あの、あれは」

自分の来た方向を指差しながら

「ただの友達で、別に何でもないんだ!」

そう言う慶太に
こんな時でも、“自分の気持ちが見透かされているんだ”と思ってしまう琴乃は、

「何言ってるの?」

なんとか誤魔化そうとしていた。


「本当は兄貴の結果が出るまで待とうと思ってたんだ!」

「?」

「それに、自分も結果を出してから、それを掲げてって…でもいいや!姑息と言われようが」

「ちょっ!何?何のことを」

「でも!だ・か・ら、絶対頑張るよ!兄貴の結果に負けないくらい!それから選んでもらっていいから!」

「駿の結果?」

「インターカレッジ。」

「選ぶって?」

「兄貴か俺か…」

「…」

「それか、俺等じゃない、この前の男?」

「あ、アレは違くって!」

やっと意味がわかった琴乃は、
急に周りの目が気になり、辺りをキョロキョロ見渡した。


「返事はさ、結果を待ったあとで…いいから…」