俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜

その電話を切ってすぐ、
紺野と琴乃は、互いの家のそばにあるカフェで待ち合わせた。



帰国した紺野が、琴乃への連絡を渋っていたのには理由があった。


それは、駿祐の報告に、寺岡家を訪れた時のこと…

紺野の話しを、食い入るように聞く両親は
安心すると同時に、

幼い頃から、親の期待を一心に背負い頑張ってきた、
孝行息子の成長を、誇りに思って涙した。


気付けば、駿祐はもう、とっくに二十歳を迎えていたのだ。


これからは、自分のために頑張ってほしいと、
目標を持った我が息子を、
自慢気に語る父親の顔が印象的だった。


これぞ家族といった風景を見せ付けられ、心が暖まった気がした、そんな矢先、

そのあとに、慶太の部屋で聞かされるハメになった、失恋の痛手の深さには、
頭を悩ます紺野だった。



「久しぶり。」

店のドアが開き、姿を現わした琴乃に、飲み物を片手に声をかける紺野。


「あんたは元気そうだね〜。」

「まぁね。ホントなら、もっとあっちに居たかったけど…あのバカ見てると、俺も何か始めなきゃって、焦ってきちゃってさ…」

「焦ってない私は、ちょっと変かなぁ?」

「女はほら…なんとかなるじゃん。」

「あー、女性差別だ!」

「って言うか、おまえの場合は特に、キャリアウーマンって感じじゃないじゃん。」

そこへスタッフがきて、
琴乃はアイスミルクティーを頼んだ。