「桃ちゃん、緊張してるでしょ」


「えっ」


「さっきから全然歌わないし、つまんなそうな感じだし?もしかして、こういうの初めて?」




あたしの気持ちをズバリ言い当てたのは、唯一あたしの話し相手になってくれてる通称かっくん。



甘い香水をつけているのか、ずっと近くにいると頭がクラクラしそうになる。




「ちょっと、外行く?」


「外?」


「気分転換に行かない?他の奴らも俺たちなんか目に入ってないみたいじゃん?」




かっくんはニコッと笑ってあたしの手を取り………あたしは、その手について行った。



どうせ葉月も日菜子もあたしがいようといまいと関係ないだろうから、ちょっと気分転換に行くくらいいいよね?



途中で日菜子とまこくんに会い、「気分転換に行ってくる」と言うと、ニヤニヤされた。



あたしはかっくんに手首を掴まれたままついて行き、地下にあるカラオケ屋を出た。