やだって、あたしが言えないこと分かっててやってるもん。



確信犯だよ。




「桃、顔見せて」




さっきは怒ってるような声だったのに、こういう時に限って優しい声で話しかけてくる。



だから……ずるい……。




「お返し、できないの?」


「や、やだ」


「悪い子になっちゃったんだな。昔と違って」


「なっ、昔はひーくんのことが好きだったから返してただけでっ……んん」




昔のあたしと比べるから、つい興奮してしまい………あたしは顔を上げてしまった。



まんまとひーくんの罠にはめられ、そのまま顎を軽く持たれたあたしはひーくんに唇を塞がれた。