「卒業おめでとうございます」


「ありがとう。これでもう学校でイチャイチャできなくなるのか」


「そこっ⁈そもそもそんなに学校でイチャイチャしてないでしょ……」


そんなあたしたちの会話の途中に割り込んできたの英二くん。

「へーえ?案外健全なお付き合いを続けてるわけだ?」



英二くんとは告白されたあの日からなんだか気まずさがあり、少し距離を置いていた。


「健全も健全よ。なんせまだ桃ちゃんは16だしね」


「うわうわうわ。天下の陽様がそんなお付き合いできるなんて……やっぱり桃ちゃんは特別ってことだな」


「だからさすがの英二にも渡せないの、ごめんね?」



ぶりっこの真似をするひーくんに、クスッと笑った英二くんは続けた。


「あ、そういえば俺にも春が来たのよーん」



満面の笑みでそう言う英二くんは外をジーっと見つめ、「あ!来た来た」と手で誰かを誘導し始めた。