結局、旅行ではひーくんと一線を越えることなく健全な高校生同士の旅行で終わった。



正直な気持ち、70%ホッとして、30%残念な自分がいた。



それを後日、バイトの時間が一緒だった日菜子に話すと思いっきり笑わられ、「大事にされてる証拠だよ!」と肩を叩かれた。



今まで不特定多数の女の子と遊び放題やってきた本宮先輩がこうして真面目に、しかもすぐに手を出してこないってことはそれだけあたしとのことを真剣に考えてくれてる証拠だ、とまで言ってくれた。



そう言われて嬉しくないはずもなく、まだ先にある大人の階段は待っていようと思った。



そして何より、帰りに家の前まで送ってもらったときに渡した時計とメッセージカードをひーくんが想像以上に喜んでくれたことが今回あたしにとってはとても嬉しかった。



まさかあたしからサプライズがあるなんて1ミリも思っていなかったらしく、ひーくんのあんな驚いた顔を見たのは初めてだった。



この1年勉強を頑張ってきたのを知っていたからこそ、こうしてそばでお祝いできたことがあたし自身も嬉しかった。



3月初め、ついにひーくんたち3年生の卒業式当日。



卒業式に出られるのは2年生のみなので出られなかったが、最後の制服姿を拝みにあたしは卒業式が終わるのを学校で待っていた。



下駄箱で待つあたしの前に現れたひーくん。

左手首にはプレゼントした時計がつけられていて、内心ニヤニヤしてしまった。