よし、部屋に戻ったらまずひーくんに謝ろう。
理由もなにも言わずあんなに不機嫌な態度をとったこと、せっかくの旅行を台無しにしちゃったこと、これは100%あたしがいけないんだから謝ろう。
心にそう決めて、あたしはゆっくりと部屋へ戻った。
ドアを開け部屋の中へ入ってみると……なんだかシーンとしている様子。
テレビの音がさっきまでついていたからかもしれない。
ひーくんも温泉に入りに行ったのかな?
謝ろう!謝ろう!と意気込んでいたのもあって、ひーくんがいないんだと知り、なんだか拍子抜けしてしまった。
……しかし、突然視界に飛び込んできたのは小さなホールケーキ。
さっきまで豪華な料理が並べられていたテーブルの真ん中に小さいけれど存在感を放つケーキがそこにはあった。
座椅子にはひーくんが座っていて、唖然とするあたしに「ハッピーバースデー、愛しの桃ちゃん」といつもと変わらない笑顔を向けてくれた。



