「貸し1」


「……」


「お返し。ちょうだい」


「えっ、だ、だって、貸しは冗談だって、」


「……そんなこと、言ったっけ?」




ひーくんは徐々に距離を縮めてきて……ニヤッと笑った後、あたしの腰に腕を回した。



グイッと引き寄せられたあたしはバランスをとれずひーくんの胸に顔を押し付けることになった。



呼吸するために両手でひーくんの胸を押すけど……ひーくんの腕が腰に力強く回ってて離れることはできない。




「なっ、なに……?」


「ん?」


「ん?じゃないよっ。何でこんなことするのっ、誰かに見られたらっ、」


「やなの?」




……この声。



久しぶりに会って、キスされたときの声だ。



ひーくんの醸し出す雰囲気も……あの時と同じ。