ええ!あなたが女の人と仲よさそうに話してるのが気に食わなくてね!それからご機嫌ナナメになりました!
そんな本音を口にしてしまえばせっかくのこの旅行がどうなってしまうのかは目に見えていたので、あたしは首を横に振ることしかできなかった。
これから大学生と高校生で離れた場所で生活することになるっていうに、今からこんなことを気にするようなちっちゃい女だと思われるのはあたしのプライドが許さない。
しかし、あたしが具合が悪いわけじゃなく機嫌が悪いんだと完全に勘づいたらしいひーくんはあたしの携帯を無理矢理奪った。
「あっ‼︎なにすんのっ⁈」
「とりあえずなんでそんな態度とるのか教えて」
「な、なにが……?別に普通じゃん」
「普通じゃないから聞いてるんでしょ。明らかに怒った顔してる」
「いつもこういう顔です」
自分で言葉を返しててさすがにここまでくると怒ってることを自供してるようなもんだとは薄々気づいていた。
それでも止めるすべを知らないあたしはただただ意地を張り続けるしかない。
そんなあたしに嫌気がさしたのか、ひーくんは夕食の時間まで一切あたしに話しかけることなくテレビをずーっと見ていた。
来たときとは一変して部屋には重く嫌な空気が流れ、せっかくのひーくんが計画してくれた旅行なのに、結局素直になれないあたしのせいで台無しにしてしまった。



