ささっと時計とメッセージカードをカバンの中に戻し、頭の中を無にするために携帯のゲームに集中した。
すると、部屋のドアが開き、ひーくんが戻ってきた。
「えっ⁈早くね⁈」
自分よりも先にいるあたしを見て驚くひーくん。
そりゃそうだ、だってサプライズしようと思ってたから温泉なんか一瞬しか味わってないもん。
「ちょっと体調悪くて」
とっさに嘘をつくあたしに、信じてくれたのかおでこに手を当てて「大丈夫か?」と、熱がないか心配してくれるひーくん。
さっきの受付の人とのことがなければ、今日はスーパー優男なひーくんで完璧なのに、あたしの脳内からはあの光景が焼き付いて離れない。
「寝てれば?」と気を使ってくれても、「ううん、もう大丈夫だから」と素っ気なく返してしまうあたし。
「ん?桃ちゃんなんか機嫌悪い?」
こんなときに限って察知能力を最大限に活かされ、ズバリ言い当てられる。



