「おまえと付き合ったことで俺は人との接し方を改めることができた。って、桃は感じない?」


「……んー、少しは」


「桃って存在が、トラウマを消していってくれたんだよ」



まさかひーくんがあたしのことをそんな風に思っているなんて1ミリも知らなかった。



過去のトラウマから助けてあげたい。

確かにそう思ってひーくんと向き合ってきた。


その思いがこうして今ひーくん本人に伝わっていたんだと思うと素直に嬉しい。



「でも、ひーくんが突然プレゼントなんて……」


「どういう意味だよ?」



怪訝な顔をするひーくん。



いつものように豪華な餌を巻いた後、あたしにその倍以上の見返りを求めてるんじゃないかってついつい思ってしまった。


そのことをそのままひーくんに伝えると軽く鼻で笑わられ、「今回は求めねぇから安心しろ」と言われた。



いや今回はかい!とツッコミを入れつつも、こうしてあたしのために旅行を計画してくれたひーくんには今回だけは見返りを求められてもいいかなぁーなんて安易に思った。