通話ボタンを押す手がなぜか震えてしまうのは、こうして会いに来てくれた嬉しさからなのか、今会ったからってなにを話せばいいのかという不安からなのかはわからない。
「本宮陽といいます。桃さんはいらっしゃいますか……?」
インターホン越しに聞こえるひーくんの声。
あたし以外が出てもいいように丁寧な言葉を使ってるだけで、それだけで嬉しくなってしまう。
いつも聞いてる声なのに……胸の奥がギュッと締め付けられる。
「いますよ。今開けるので、ぜひいらしてください」
あたしに聞くでもなくそう答えたママは、マンションのエントランス共有玄関のロックを解除し勝手にひーくんを招き入れた。
「待って!ひーくん入れちゃったの⁈」
「入れちゃったのって入れるに決まってるでしょ。喧嘩したとき、特にこうやって第3者が関わってるときこそ直接会って話さなきゃだめ!ママの経験上仲直りは直接会って話してハグしてキスするのに尽きる!」
「ハグにキス⁈⁈そんな上級者テクニック無理だよ!」
「なに言ってるのよー。触れ合うのって結構大事なのよ?抱きしめちゃえばめんどくさい感情なんていつの間にか消えてるんだから」



