確かに放っておけないのは事実。

血は繋がってない。

今はもう家族でもない。

それでも、1つ屋根の下で暮らしてきた時間があるからこそ多少の情はある。




「桃ちゃんたち今ごろどうしてるんだろうねぇ?」


「いいから黙って歩け」


「あっ、トイレ行きたい!ちょっと寄ってくる!」



絢はそう言ってすぐ近くにあった女子トイレへと消えていった。



〝桃〟という単語を聞いてため息が出る。

桃は……悪くねぇのに。



俺が勝手に嫉妬して、出た怒りをぶつけた。

それは……英二にも同じだ。



正直、裏切られたと思っていない。



絢のことでも嫌がらせのことでも、とにかく話してくれなかったことに腹が立った。



気持ちを抑えきれなかった。



……あぁ、もしかして俺って恋愛も初心者だけど、友達との付き合いも初心者なのか?



どこまでもダメ人間で自分でも呆れる。