対照的にひーくんは感情的になっていて、口元は笑ってるけど目が笑ってないからすごく怒ってるのがわかる。




「好きになったのは悪いと思うよ。でも、陽と桃ちゃんの邪魔をしようなんて思ったこと1度もない」


「ほんとかなぁ?だって、陽が遊んできた女の子たちが桃ちゃんに嫌がらせしようとしてたの止めたの全部英二なんでしょ?陽より自分の方が幸せにできるって思ってるんじゃないの?」



ひーくんの後ろにいた絢さんはゆっくりと前へ出てきて、倒れ込んだ英二くんの手を掴んで引き上げた。



「嫌がらせって……この前言ってたやつ?あれは嘘じゃなかったの?」



あたしは唇をいたそうに触る英二くんを見上げた。



絢さんが嫌がらせをしようとしてたのをカモフラージュするための嘘かと思ってたけど、まさか裏で英二くんが止めててくれたの?




「確かに噂で聞いたり相談されたりしたよ。もちろん桃ちゃんのために止めた。でもそれは……」


「もういい聞きたくない」



話し始めた英二くんの言葉を無理矢理止めるひーくん。



そのままあたしと目を合わせることなく保健室の扉の方へ歩き出した。