ミスターコンテストに出てるはずのひーくん。

本当は応援するはずだったけど、それはもう叶わない。



「告白タイムなんて桃いないのにどうしてるんだろうね?パスできるのかな?」


「どうなんだろ……」



コンテストのことを忘れるほどさっきまで余裕がなかった。


あれほど出て欲しいと懇願していたコンテストだけど、優勝して旅行チケットが貰えたとしても今のひーくんとあたしの状態じゃ行けるわけがない。



「まあ、今の桃が行ってもしょうがないから、あたしが体育館に様子見に行ってこようか?」


「あ、ほんとに?ごめん。そうしてくれると助かる……」


「じゃあ300円いただきまーす!」


「お金とるんかーい!」



突然の日菜子のボケに反射的にツッコむあたし。



いつものような空気に戻ったのを感じ、日菜子もそれは同じだったようで……2人で目を合わせて笑った。



「笑顔が見れたからよしとするかぁ!では、偵察に行って参る!」



おでこに手を当てて敬礼をしたあと、日菜子は保健室を小走りで後にした。