「桃たち2人が上手くいってないのにどうやって絢さんと戦うのよ。まずは本宮先輩と仲直りして一致団結しなきゃ始まらないでしょうが」



そうか……あたしとひーくんの仲が悪くなればなるほど絢さんは間へ入ってきやすくなるんだ。



絢さんのことをどうしようどうしようと考えていたから、昨日もそうだけどひーくんのことを後回しにしてしまったのかもしれない。




「彼女を作らなかった本宮先輩が初めて特別にしたいと思ったのが桃なんでしょ⁈なら自信持って強くいなさいよ」


「うん。堂々としてなきゃいけないよね」


「そうだよ。本宮先輩も意地張ってるんだと思うよ?」



1人でいろいろ考えてるときは嫌なことばかり考えてしまって暗い誰もいない海の底にいるような気分だった。



日菜子は優しく手を伸ばして底からあたしを引き上げてくれた。



友達という存在を改めて大きく感じる。

〝付き合う〟ということが初めてのあたしにとって、恋愛経験豊富な日菜子はかなり心強い。



おかげで、さっきまでのうじうじしていた弱虫な自分から、自信を持ってひーくんの彼女だと言えるような強い人になりたいと思えるようになった。