「絢(あや)か」
「………」
「絢に頼まれたんだろ」
「………」
「なぁ」
「………」
「おまえの弱点が絢なことくらい知ってる」
「………あー、だよなぁ、バレるよなぁー………」
英二はうなだれるように頭を机につけ、頭上で手を合わせて「ごめん!」と言った。
桃はまるで「誰?」とでも言いたそうな、不思議そうな顔をしている。
できればまだ、桃に絢のことは言いたくなかった。
でも、今回みたいに桃に被害が及ぼうとしているんだとしたら、これは知ってもらわなきゃいけないのかもしれない。
俺はこの機会だからと思い………絢について話すことにした。
………が、それは叶わなかった。
絢本人が、俺たちの前に現れた。
「うぅっ、陽ぉっ……会いたかったぁ」
そして、なんの躊躇もなく俺に抱きついた。
〜陽side end〜