英二は小さく舌打ちをした。
どうやら状況がイマイチ把握できていない俺にイライラしてる。
「まぁ、おまえから捨てられた女たちはみーんなそのあと、俺のところに来たわけよ」
「………」
「もちろん陽が手つけてる女に手出す趣味はねぇからみんな断ったよ。そしたらさ、もう怒りをぶつける相手は１人しかいねぇだろ」
………桃か。
まったく気づかなかった。
確かに一方的に関係を切ったのかもしれないけど、相手は納得してるもんだと思ってたし、そこまで執着してるはずないと思ってたし、誰からも連絡がなかったから円満に終わったんだと勝手に解釈してた。
「……桃……誰かになにかされた？」
急に心配になりそう聞くと否定する答えが返ってきたので、ホッと一安心した。
