「メープルドーナッツと、チョコドーナッツがオススメになっております」


「じゃあー、メープルとコーヒー貰おうかな。おまえらは?」


「俺、チョコとコーラで」


「俺もメープルとコーヒーで」


「かしこまりました、ご主人様」



メニューを受け取り席を離れ、注文を他のスタッフに伝えていると、また3人組に呼ばれたため席へと向かった。



「ねぇねぇ、メイドだからご主人様の言うことはなんでも聞いてくれるんだよね?」



なにを企んでいるのか、3人ともニヤニヤしている。



ひーくんがニヤニヤしていても”ほんとに変態だなぁ”くらいにしか思わないけど、初対面の人にニヤニヤされると、正直気持ち悪いと思ってしまう。



「なんでも、というわけではないですが、喫茶店としてのお願いならできるだけ承ります」



仕事として、丁寧に答えたあたしに、「えー、そんなんつまんねぇじゃーん」と、あからさまに嫌な顔をする3人組。



すると、1番近くにいる背の高い人が、あたしの手首を突然掴み、こう言いだした。



「お姉さんのこと気に入っちゃったからさぁ、連絡先だけでも教えてよ」



手首を掴まれたことにまずビックリし、その次に今さっき会ったばっかりなのに連絡先を聞いてくる早さにもビックリした。