………はずだった。
自分の意見を曲げたことなんて無いに等しいこの俺が、桃にお願いされたら断れずコンテストに参加する羽目になってしまった。
「ホスト姿のひーくん見てみたいなぁ。絶対かっこいいんだろうなぁ」
「そうやって持ち上げてもやんねぇよ」
「あたし文化祭でメイドの格好するのね?だからメイドのままひーくんがいるホストに行こうかなぁ。そしたら堂々とイチャイチャできるね?」
不覚にもメイド姿の桃を想像しイチャイチャできると思ったらニヤけてしまった。
「いや、でも他の女と話さなきゃいけねぇのが無理」
「でも貰えるのは温泉旅行だよ⁈お、と、ま、り、だ、よ?」
「………」
「一緒の部屋で………寝れるよ?」
「………」
「あたし、ひーくんと旅行行くのが夢だったのになぁ………」
「よし、参加しよう。そして1位とって温泉旅行行って、夜は激しく過ごそう」
「うん!最後のは聞かなかったことにするけど、ありがとう!全力で応援するから頑張ってね!」
………まんまと桃の策略にはめられた俺は、もう後戻りできないように参加申込書を桃に提出させられ、あんなに嫌だった美男美女コンテストに参加することになった。