「そういえば、さっき日菜子ちゃんから聞いたんだけど、陽へのプレゼント迷ってるんだっけ?」




あたしの耳元に近づいてきたと思ったら、悠里さんは小声でそう話した。



日菜子……!!!

プレゼントのこと話したの?!?!



日菜子を強く睨むと、「つい喋っちゃった」みたいな顔で返された。




「そうなんですよね。プレゼント何にしたらいいか迷ってて……」




もうこうなったら、とことん悠里さんが持つひーくん情報を聞き出してやる。




「そしたら、欲しいって言ってた建築の本があるからそれがいいんじゃない?」


「なるほど……」


「しかも、欲しかったものをプレゼントされたら男の人ってすごい喜ぶと思うよ」




名前までは忘れちゃったから、また連絡して教えるねっ、と言われて、悠里さんのおかげでひーくんへのプレゼントがやっと決まったのだった。



こうやって教えてくれるってことは、本当は悠里さんって優しい人なのかもしれない。



普通こんなに親切にしてくれないよね?



ひーくんが自分のこと話してくれないから、分からないことあったら悠里さんにこれから聞こうかな!



………なんて、この時のあたしは呑気にそんなことを思っていた。