商店街にはカラオケやファストフード店、本屋などたくさんのお店があり、放課後に時間を潰すにはとっておきの場所でもある。

ただ、気をつけなければならないこともある。



「あれ、ひーくんじゃない?」


葉月は指をさしながらそう言った。


細い路地を通って裏通りに行けば一気に雰囲気は悪くなり、通る人の柄も悪くなる。


一度間違えて行ってしまったことがあって、そのときに雰囲気は感じ取った。

ラブホテルがたくさんあったことは覚えている。


ちなみに、ママとパパからは路地裏に行くことを禁止されている。



そんな危険な世界から……彼は歩いてきた。



「ひーくん……だ」



葉月が気づいてくれたおかげであたしも気づき、店内からもその姿を確認することができた。


派手なメイクをした明るい髪の女の子がひーくんの右腕に絡みついて、まるでカップルかのようにイチャイチャしている。