「……嬉し泣き、です」
「嬉し泣き?」
「だって、ひーくんがあたしにヤキモチ妬いてくれたんだもん」
誰にも興味がなかったこの俺様が、あたしだけには興味を持ってくれた。
その現実が嬉しくないわけがない。
泣き腫らした顔だけど、今この瞬間のひーくんの表情をちゃんとこの目に焼き付けておきたくて、あたしは俯いた顔を上げてひーくんへ微笑んだ。
そしたら、ところがどっこい、急に頬に痛みが走った。
と思ったら、ひーくんがあたしの両頬を軽く引っ張ってるのが原因だった。
「なっ、何しゅるのっ」
頬を引っ張られてるから上手くしゃべれない。
「お前いつからこんな可愛くなった?」
「きゅ急に、何言い出すのっ?」
引っ張るのを止めてくれたおかげで普通にしゃべれるようになった。
「そりゃあ、中学の時はメイクなんかまともにしてなかったもん。そりゃ今のほうがばっちりメイクだからじゃない?」
「違う、外見のこと言ってんじゃねぇよ。その素直さのこと言ってんの」
「素直……?」
「桃がバカなのは知ってるから計算して言ってるわけじゃないことは分かってるけど、それにしても言うことが可愛いすぎんだよ」
「……っ」
「そのおかげでこっちも調子が狂う」
いきなりの褒め殺しに、あたしは手と足もでずフリーズした。



