ひーくんは一言目に……「悪かった」と謝った。



あんなに俺様で意地悪なひーくんが、ものすごく悪そうにあたしに謝った。



その言葉にどんな意味が込められているのかはその時は分からなかったけど、その後にたくさんひーくんは話してくれた。



過去のことを、全部話してくれた。



両親の離婚、再婚、そして……母親でもあった人の子どもには衝撃的な場面の遭遇。



それ以外にもたくさん話してくれた。



恋愛に対する価値観を………全て話してくれた。



女の人を信用できないと。

みんな母親のように裏切るんだと思ってると。

恋愛をしようと思ったことがないと。



正直、どう反応すればいいか分からなかった。



どう言ってあげたら正解なのか、どうしたらひーくんを救えるのか、まだ未熟なあたしには分からなかった。



だから、話を聞く途中ただただ手を強く握って相槌をうつことしかできずにいた。




「話してくれてありがとう……」


「桃には、知っててほしかった」




その言葉の裏に異性としての感情がなくても、あたしに聞いてほしいと言ってくれたことに代わりはないから素直に嬉しく思った。