涙で大変なことになってるあたしの目に優しく触れ、丁寧に涙を拭ってくれた。



手は流れるようにして頬から顎、顎から首元へ移動した。



でもずっとあたしを見つめてて、それだけでドキドキした。




「消毒、するから」


「え?」




そう言って首元にある手に力が入ったと思ったら、あたしは自然とひーくんに引き寄せられていて………



何回目かの、キスをされた。



想いが溢れ出してしゃべったけど頭の中はごちゃごちゃで、加えてボーッとするから余計に何も考えられなくなっている。



ひーくんがどう思ってるかとか、あたしのことを好きなのかとか、そんなことはもうどうでもよくなってて。



あたしはひーくんが好き。

もっと、この手に触れられたい。

甘い匂いを近くで感じたい。



単純に自分の気持ちに素直になった。



……唇同士はすぐに離れ、ひーくんはというと、なぜかため息をつきながらガクンと俯いた。




「ひーくん……?」



心配になったあたしがそう声を掛けると、あたしの手を握るひーくんの手に力が入った。