アパートの前でキスしているのも、女の子が必要以上にくっついて2人でイチャイチャしながら歩いてるのも何度も見た。
ひーくんと鉢合わせるたびに、あたしは平然を装った。
見た目は変わったものの中身は昔のままで、必ず会えばあたしの頭をポンポンと優しく叩いた。
それが嬉しくて、会わないかなぁと毎日考えながら外を歩いていた。
そして、あたしも中学生になり………思春期が到来して更にひーくんと関わる時間は減った。
……そんなあるとき、ひーくんが引っ越すという噂が耳に入って、偶然にもその日にひーくんとアパートの前でばったり会った。
このとき……あたしはひーくんに気持ちを伝えようとした。
「ひーくんのことが好き」と。
だけど、結局伝えることはできなかった。
なぜなら……「いい彼氏見つけろよ」と、笑いながら捨て台詞のようにそれだけ言って、いつものようにあたしの頭を叩いたから。
告白せずとも振られたも同然の言葉をもらい、あたしは結局告白することができなかった。