話してたからあまり長く待っていた感じはしなくて、気づけば元希がトイレの方から歩いてくるのが見えた。
大体トイレは女子トイレの方が混んでいるから、愛ちゃんの姿は見えなかった。
その代わりに、見覚えのある人が元希の横にはいたからびっくりした。
その光景に、隣に座る太陽くんもびっくりしていた。
夜の暗さでも分かるくらいの整った顔が歩いていて、周りの女の子たちはまるで芸能人が歩いてるかのようにキャッキャッと騒ぎ始めた。
「お待たせ!あ、さっきそこで会ってさ、そしたらももたろーに話があるって」
元希はばつが悪そうな顔をして、その人をあたしたちの前に連れてきた。
目の前には………もう2度と話すことはないと思ってたひーくんがいる。
太陽くんこそ、最も会いたくない人だろう。
なのにこのバカ元希はデリカシーもなくまんまとあたしたちの前にひーくんを連れてきやがった。
こいつどういう神経してんの?!
デリカシーないの?!
って、そもそもひーくんも何であたしに会いに来たわけ?!
え。話って何よ……。
頭がパニック状態のあたしは、目の前に立つひーくんの顔を見ることはできず、下を向いていた。
そんなあたしに追い打ちをかけるかのように、ひーくんは余計なお世話で話しやすいようにその場でしゃがんであたしに目線を合わせてくれた。



