「ももたろーこっちだっけ?」
「そうー。元希は真っ直ぐだよね。じゃ、また明日ね」
「待って!携帯、貸せ」
「え、ちょっ、」
元希はあたしが手に持ってた携帯を無理矢理奪うと、自分の携帯を見ながらあたしの携帯を勝手に打ち始めた。
すぐに携帯は返され、画面を見ると電話帳に新たに“太陽”の文字とメールアドレスと電話番号が登録されていた。
分かれる前に元希に「連絡してやって」と言われ、家に着き部屋着に着替えた後、さっそく太陽くんにメールをした。
すぐに返事がきて、そのあとは互いに他愛もない質問をしあった。
太陽くんはあたしの最寄り駅から4駅離れた場所に住んでいて、小中とバスケをしていたらしい。
2つ下の中学2年生の弟がいて、反抗期を迎えたからか話すと喧嘩口調なのが今の悩みだって言ってた。
太陽くんに友達になってほしいと言われたあの日からあまり日にちは経ってないけど、
最初は静かだった太陽くんもすぐに打ち解けて話してくれるようになったから、こうして友達になれて良かったって思う。
好意を持ってくれてるのはまだ信じがたいけど、あたしなんかと友達になりたいと思ってくれただけで口角が上がってしまう。