金曜日は1週間の中でなんだか特別に感じる。

休みが始まる前日だからか、とてもワクワクする。



赤点を貰ってても忘れてしまうほど気分は良い。



鼻歌を歌いながら下駄箱に向かうとタイミング良く元希に会い、そこでお祭りのことを思い出した。



お祭りは土日の2日間で行われる。



元希たちと一緒に行くのは土曜日に決まり、ついにその日は明日。



メンバーは元希、太陽くん、あたし、日菜子、愛ちゃんの5人。

夕方の3時に駅前で待ち合わせをすることになった。




「なあ、お前って浴衣持ってる?」


「浴衣?持ってるけど……え、まさか着てこいってこと?」


「そういうこと。せっかくだから女の子の浴衣姿見たいなーって。あ、ももたろーのは別に見たくねぇよ?」




意地の悪い顔をした元希の脛(すね)を手加減せずに蹴ると、元希は痛そうに顔を歪ませて脛を優しく押さえた。



あたしと元希の関係は異性の友達というより男友達に近い。



お互いに異性に見ていないし、何でも話せてどんな部分でも見せれる関係。



変に気を使わなくていいから一緒にいて楽。