「じゃあな、もう危ないことすんなよ。」



平静を装いながら背を向けた。なんか後ろから「おい待て!」だのなんだの聞こえるが、無視して全力で走る。



足を止めずに途中鞄を担ぎ、さらにスピードを上げた。



走り続けていたら、元の場所に戻っていた。



なんで必死に走ってるかって?



それは突きつけられた現実から目を背けたかったからだ。



刀で切られた痛みも、頭を撫でた感覚も、全て現実。



だがそんなことよりも、助けたあいつの存在が未だに信じられない。