明日にでも訪問日を決める事にして、ひとまず今日のところは終了となった。時計が17時を回ったからだ。

小会議室の扉が開き、生徒会長が入って来た。
「お疲れ様。もう5時だから早く帰宅しよう。僕が戸締まりはしておくから、先に出て構わないよ」
「分かりました」
「お先に失礼しまーす」

校内に音楽が流れ始め、男性教師の声でアナウンスされる。
「時刻は午後5時になりました。速やかに退校し、寄り道などせずに帰宅して下さい」

私は香奈恵と共に小会議室を出る。振り返ると、生徒会長が窓の閉め忘れを確認していた。その姿を一瞥し廊下を歩き始めた私に、香奈恵が似合わない小声で言う。
「小雪がいなくなって3ヶ月かあ・・・会長もツラいよねえ」
「う、う・・・ん」

小雪は校内ナンバー1の美少女と噂されていた、私達のクラスメートだ。肩までの少し茶色がかった髪を弾ませながら颯爽と歩く姿は、モデル顔負けのスタイルもあり、同性の私ですら見惚れてしまうくらいだった。

そんな小雪と涼やかな美男の生徒会長は、全校生徒が認めるベストカップルだった。しかし今年の2月、小雪が突然行方不明になった。