「あなたは中学生の時、花井 薫という同級生にクラスメートの目の前で有り得ないフラれ方をした。それがトラウマとなり、女性と付き合うどころか、面と向かって話しをする事すら苦手になった」

「ナ、ナゼ、シッテル・・・ナゼ!!」
管理人を包む霊気が、一気に膨らむ。そのプレッシャーに耐え、私は話し続ける。

「過去のトラウマに縛られ、足を踏み出せないあなたは、それを払拭する方法を思い付いた。花井 薫と同じ様に髪が長い女性を蹂躙し殺してしまえば、トラウマを克服できるのではないのか。と」

管理人は私に近付き、見下ろす様に睨み付ける。
七人ミサキの順番は絶対だ。どんなに凄もうとも、管理人が私を呪い殺す事はできない。

「あなたは髪の長い女性を殺し、トラウマを克服した後、花井さんも殺そうと、いや最後のターゲットにしていたんでしょ。クラスメートの、学年全員から笑い者にされた怨みを、ずっと晴らそうと思っていた」

「ナ、ナゼダ」
「昨日、花井さんの自宅を訪問したら、時々同級生から現況を尋ねる電話があったと、お母さんから聞いたから。もしかしたら、あなたが花井さんを調べていたんのではないかと思って」

管理人は押し黙り、ただ私を睨み続ける。

怨み・・・
純粋な思いは時にトラウマとなり、それが憎悪に変化する。
人の思いとは、時間とともに薄汚れていくものなのか。
結局、人はエゴの塊でしかないのかも知れない。