翌日の夕方、18時過ぎ──
私と沙希は香奈恵の病室にいた。

香奈恵の呼吸は浅く、細い腕に繋がる点滴の管は2本に増えている。原因不明の熱は治まる気配を見せず、今も徐々に上がり続けている。意識は途切れ途切れで、ほんの数分言葉を交わした後、再び瞼を閉じた。

もう見ていられない。
隣では、今も責任を感じている沙希が泣き崩れている。
もう、終わりにしなければならない。

「ここにいるんでしょう」
そう呟くと、まず制服姿の女の子が現れた。そして、その背後に、ポツリポツリと七人ミサキに取り込まれている女性達の霊が浮き上がる。そして、最後に管理人の姿が現れた。

「あと1日、あと1日で私は離れられる」
制服姿の女の子が、香奈恵を見詰めながら笑みを浮かべる。
その横顔を睨み付け、気持ちを高ぶらせる。
させない、絶対にさせない!!

でも、これは賭けだ。
成功する確証はない。

私は足を踏み出すと、管理人の前に進む。
その姿を見ると襲われた時の事を思い出し、恐怖感とともに足が震える。

「岡田 一志。聞きなさい!!」
強い口調で叫ぶと、管理人の目が見開いた。