「なに?二人ともそんな怖い顔して」
「あ、ああ・・・おはよ」
「何だ、沙希かあ」
「え?なに、なに?」
背後に立っていたのは桐山さんだった。

「って言うか、何でココにいるの?」
桐山さんは少し困った表情で、首筋を触わりながら答える。
「昨日、授業中に飛び出していくの見たし、チョット気になって。香奈恵の住所は聞いてたし・・・わっ!!」
言葉が終らないうちに、ゾンビが抱擁する。
「いー子、いー子」

「でさ」
桐山さんがゾンビを振りほどき、私に近付いて来て耳元でささやく。
「二人の事をコソコソ見ていた人がいたんだけど・・・」
「マジで?」
「コンビニの横にある電柱の陰」
気付いてない様に、香奈恵の方を向くフリをしてコンビニを視界に入れる。
いた。

電柱の陰に人影。
明らかにこちらを見ている。
ジメジメとした陰湿な視線。
間違いない。最近感じていた視線はコレだ。

コンビニに行くフリをして、その人影に近付く。
確かめなくてはならない。
1歩2歩、歩き始める私を目で追う香奈恵。
桐山さんは私の後に続く。

少しずつ速足になる私に気付き、その人影は後ろ向きに走り出した。そして道路を強引に横断すると、最初の角を曲がって姿を消した。

あの人は・・・