手ぶら状態で学校を飛び出し、駅へと続く大通りに出る。
思い切って振り返ると、後方100メートルほど離れた場所に女性の霊が見えた。間違いない、私を認識し追って来ている。

再び走り出し、駅に向かう。
電車を利用して引き離すしかない。

心臓がバクバクしている。
息が苦しい。
こんなに一生懸命に走ったのは、一体いつ依頼だろうか。
めまいがする。
ふくらはぎがパンパンで、もう足がつりそうだ。

目の前に、線路との境界線になっている金網が見えてきた。
線路沿いの道を、最後の力を振り絞って改札に向かう。
真昼間に全力で走る女子高生を見て、通行人が呆気にとられている。

あとは、タイミング良く電車が来ることだけ。

その時、私の背後からレールの軋む音が聞こえてきた。
ギリギリ・・・

電車に追い越されても、諦める訳にはいかない。
目の前でホームに停車する電車。その様子を眺めながら、改札を飛び越える。静止の声など聞けない。ベルの音と共に、ドアの中に転がり込んだ。

お願い!!

座席の陰に隠れ、姿勢を低くする。
見付からないで・・・

カタンという音と同時にドアが閉まる。
レールの継ぎ目でカタンカタンと電車が揺れる。