「小柄・・・かな?
うーん、身長は150センチ前後。白髪で、後ろの方で軽く御団子にしてる感じ。茶色っぽい着物を着てる」
背後に立つ老婆と目を合わせない様に、その特徴を告げる。

すると女子生徒が目を見開き、驚愕の表情でキョロキョロと周囲を見回した。
「そ、それって・・・お祖母ちゃん・・・ここに、お祖母ちゃんがいるんですか?」

「・・・ふうん」
ここで、体勢を立て直した香奈恵が口を開く。

香奈恵に霊は見えない。しかし、自称至高のオカルトマニアだけはあり、その系統の知識だけは常人を遥かに凌ぐ。きっと、余計な知識を詰め込み過ぎて、数式や英単語が記憶出来ないのだろう。しかし、片目に白目のカラーコンタクトを入れ、口から鮮血を垂れ流しているというゾンビメイクをしているため、相手には霊界からの御言葉に聞こえる様だ。

・・・と言うか、校内ベスト5に入るほどの美貌(私個人ランキング)が台無しの残念なゾンビだ。出会った頃は、まともな風貌だったのに。

「あなた、ここ暫くお祖母さんの墓参りに行ってないでしょう。かなりのお祖母ちゃん子で、孫の中でも特別に可愛いがられていたはずなのに」
香奈恵のまともな発言に女子生徒が顔を向け、その表情がキュっと引き締まる。
「・・・はい」